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孫10人残され途方に…。祖母の嘆き

コンゴ民主共和国、武装勢力に夫と息子奪われ
, WFP日本_レポート
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国連WFPの食糧配給に並ぶ何千人もの避難民. Photo: WFP/Jacques David

コンゴ民主共和国のカサイ地域では、軍事衝突によって多くの女性たちが生活の糧を失い、支援を求めています。しかし国連WFPが食糧を提供するための資金は不足しており、飢きんに陥りかねない状況が続いています。

「私にはもう、夫も息子もいないのです。」

70歳を超えるエスター・カジャンザは2017年4月、住んでいた村を武装勢力に襲撃されました。夫と息子はほかの住民とともに斬首されたと言います。息子が残した10人の孫とともに命からがら村から逃げ、2日間かけて60kmを歩き続けました。たどり着いた村で助けを求めようとしましたが、その村もすでに激しく破壊され、人々は逃げ去っていました。

「私にはもう動く力は残っておらず、そこで死んでしまうと思いました。でもあまりに危険だったので、必死の思いで森の中に逃げたのです」

「村に戻ろうと森を出ると、首のない死体が道に転がっていました。だからそのまま3カ月間、森に隠れていました。葉や木の実を食べて生きのびました」

その後、エスターは村が安全になったと聞かされて戻ってきましたが、家は破壊されていました。今はやむを得ず、森にまだ隠れている別の家族の家に仮住まいしています。

紛争によって一家の働き頭を失い、残された10人の孫を育てていかなければならないエスター。

「もう、何も残っていません」。絶望と怒りがないまぜになった表情で、こう語りました。

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カサイ地域で重度の急性栄養不良と診断された5歳の女の子と、その母親。Photo: WFP/Tara Crossley

2016年半ばに戦闘が勃発する以前、カサイ地域の人々は人道支援とは無縁に暮らしていましたが、今は国連WFPの支援を受けています。エスターは支援には感謝していると話しましたが、70代という年齢で大所帯をいつまで養い続けられるか、日々不安を抱えています。

国連WFPのコンゴ民主共和国カサイ州では、人口の4分の1に当たる320万人が深刻な食料不足に陥っており、30万人の子どもが栄養不良で死と隣り合わせの状態です。国連WFPは2017年末時点で、39万人に食糧支援を実施しました。しかし現在は資金難のため、必要量の半分しか提供できていません。飢餓に歯止めをかけるには、到底足りない状況です。

この地域では、まだ多くの住民が森に隠れています。食糧支援が不十分なので、彼らは集落に戻ろうとしません。このため作付けの時期が来ても農地が耕作されず、食料生産が減る悪循環に陥っています。

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Photo: WFP/Jacques David

国連WFPはコンゴ民主共和国で、これから6カ月の間に必要な資金の3%しか確保できていません。国連OCHA、オランダ、欧州連合は4月13日、同共和国の支援に関する会議をジュネーブで開き、国際社会にさらなる資金援助を呼びかけます。

飢餓に苦しむコンゴ民主共和国の女性や子どもたちに、ご支援をお願いいたします。寄付はこちら