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テレサの”魔法”のカード

ウガンダ、先端技術で栄養不良を退治
, WFP日本_レポート

ウガンダ、先端技術で栄養不良を退治

テレサはウガンダ東北部のカラモジャ地方で、5人の子どもと暮らすお母さん。村で一番のビッグスマイルを持つ、若くて元気な女性ですが、それだけではありません。実は子どもの栄養不良を退治してしまえる、"魔法"のカードも持っているのです-。

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母親教室で話すテレサ。 Photo: WFP/ Carlos Muñoz

テレサが持つのは、国連WFPがウガンダで、子どもたちと妊産婦の栄養支援に導入した新システム「SCOPE CODA」(スコープコーダ)の登録カードです。

国連WFPはこれまで、子どもや母親の身長や体重、栄養補助食品の配布の状態や治療の経過などを、紙に書いて管理していました。SCOPE CODAではこれらをすべてオンライン入力し、クラウド上で管理することになります。

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SCOPE CODAの登録カードを持つテレサ。 Photo: WFP/ Carlos Muñoz

ウガンダはこれから、雨期を迎えます。お母さんや子どもたちが治療のために紙の冊子を持ち歩けば、濡れて読めなくなったり、なくしたりしてしまう恐れもあります。

SCOPE CODAでは、紙の冊子がプラスチックのカードに変わり、病院などで読み取り機にカードをかざすだけで、必要な情報が呼び出せるようになるのです。

テレサが地域の母親教室で、こうした仕組みを説明すると、聞いていたお母さんたちから自然と大きな拍手が沸き起こりました。

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テレサの娘。母譲りの笑顔。Photo: WFP/ Carlos Muñoz

テレサの4番目の子ども、シルビア(5歳)は数年前、急性栄養不良と診断され、政府の治療プログラムを受けました。

「子どもの具合が悪い時って、親まで具合が悪くなるのよね。同じようにつらくなっちゃうし、他の事に集中できなくなる。家族全体が落ち着かなくて、やる気も起きないの」

国連WFPが支援するこの治療プログラムを受けて、シルビアはまもなく回復しました。その後は、栄養不良に逆戻りすることもなく暮らしています。

シルビアに、プログラムを受けさせようと決めたのはテレサです。彼女はこの時、自分の小さな一歩が、未来を変える力を持つことに気づいたのでした。そして同じ悩みを抱えた他の母親たちを助けることで、子どもたちの命を救えるかもしれない、と考えました。

それ以来、彼女は栄養に関する住民向けの講座などで、自分の体験や知識を伝える活動を続けています。子どもたちを栄養不良から回復させるにはどうすればいいか、説明するのです。

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SCOPE CODAは、支援する側にも大きなメリットがあります。村で働く看護師などの現場職員とウガンダ政府、国連WFPが、同じ情報を共有できるようになるのです。

これによって、子どもや母親たちが今この時に必要としている食料や治療を素早く届けられるようになり、より多くの子どもの回復につながると期待されています。

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国連WFPは2016年にSCOPE CODAを開発し、現在ウガンダと南スーダンで試験運用中です。今年は新たに8カ国へ、事業を拡大する計画です。

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テレサの笑顔が、他の母親と子どもたちも笑顔に。

テレサのカードに宿るのは魔法ではなく、クラウドネットワークをはじめとする先端技術の集積です。

でも彼女が起こした小さな行動は、多くの母親を動かし、子どもたちを栄養不良から救うことにつながっています。それこそが人間の持つ、魔法の力なのかもしれません。

栄養不良と闘うウガンダの子どもたちとその母親へ、ご支援をお願いします。寄付はこちら

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