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「私は教育を受けて、学校を卒業する必要があります。結婚について考えることができるようになるのは、それからです!」

南スーダンの少女たちに教育を普及させるための食料支援
, WFP日本_レポート
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アタプ・ガラン(白い服を着た右)は兄弟とともに、アジダ(ソースが添えられた、ソルガムから作られる粥)をアウェイルにある自宅で食べます。Photo: WFP/Gabriela Vivacqua

「教育はわたしにとって優先度の高いものです。私は自分を確立したい。医師になりたいのです」16歳のアタプ・ガランは語ります。彼女ぐらいの年の子どもには珍しく、アタプは人生において何を求めているかをはっきりと認識しています。

彼女は主張がはっきりしており、やる気があり、多くの人が不成功に終わるものであったとしても、成功しようと見定めています。彼女は、授業に定期的に出席することを条件に食料を定期的に供給する、意欲的なプログラムの恩恵もあり、学校へ通うことができています。

しかし彼女の年の少女たちの多くは彼女ほど恵まれてはいません。南スーダンは児童婚の割合が高く、18歳になるまでに半数以上の少女たちが結婚させられます。アタプは、学校への定期的な出席と引き換えに家に国連WFPから提供される食料を持ち帰ることのできる16,000人の少女の内の一人です。

支援の仕組み

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アウェイルの学校での集会で歌う生徒たちPhoto: WFP/Gabriela Vivacqua

少女たちにとってのインセンティブとして知られるように、このプログラムは、全体的に女子生徒の出席率が低い学校で行われる、国連WFPの学校給食支援の一環です。国連WFPは出席に対するインセンティブとして持ち帰り食料を提供することで、彼女たちの食料事情を改善することも目指しています。

学位を修了するには、少女たちは3年生から8年生まで学校へ通わなければなりませんが、この青年期に学校をやめてしまうリスクが一番高いのです。食料を受け取るためには、彼女たちは80%以上の出席が求められます。そして、月に一回、出席率が確認された後に家に持ち帰ることのできる食料を受け取ります。一人につき受け取るのは、10キロの穀物と、3.5リットルの植物油です。しかし、食料だけでは、少女たちを学校に留めておくことはできません。

しかし、食料だけでは、少女たちを学校に留めておくことはできません。

家族のサポート

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アタプの母親のアンヤン・デンは家族のために食事を準備します。ソルガムの添えられたアジダは国連WFPから提供されたものです。 Photo: WFP/Gabriela Vivacqua

家族が協力的であった時のみ、子どもたちは学校に留まることができます。アタプの36歳の母、アンヤン・デンは、この事実をよく分かっています。

「私の夢はアタプの卒業を見ることです」アンヤンは語ります。「教育があって初めて良い人生を実現できます。教育を受ければ、成功するチャンスを得ることができます」

アンヤンはアタプのほか、6人の子どもたちを自分の姉妹の助けを得ながら育てています。2013年12月に南スーダンで内戦が勃発した後、アンヤンの夫でアタプの父親は仕事を求めてスーダンに渡りました。それから3年近くになりますが、彼は戻ってきていません。スーダンの経済の低迷受け、生活は困難になり、家にわずかな送金しかできなくなりました。アンヤンに家族の世話を任せ、いなくなってしまいました。

しかし、すべての困難の中においても、家族は夢を追います。

同じ地域の他の女性たちと同様、アンヤンも、家庭を持つために教育を全うすることができませんでした。しかし他の女性たちと同じなのはここまでです。

夢を失ってしまった多くの同胞たちと異なり、アンヤン自身の夢は先送りにされただけです。アンヤンはアタプと同じくらい、娘の夢を叶える決意が固いのです。なぜなら、アンヤン自身の夢は、彼女の子どもたちを通じてしか叶えることができないからです。

「私は医師になりたいと思っていましたが、叶えることができませんでした。しかし、アタプが代わりに叶えてくれると思っています」アンヤンは語ります。

厳しい生活

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少女たちは自分たちをとりまく困難を忘れて、休み時間に遊びます。Photo: WFP/Gabriela Vivacqua

紛争という困難だけでなく、深く根付いた文化的な基準と慣習が、女性と少女たちを取り巻く環境をさらに難しくしています。夢を叶えようとしている南スーダンの平均的な少女たちにはとても厳しいものです。

ここでは、少女の運命は生まれた時から決まっています。少女は男性家族の必要を満たすよう、料理、掃除等を提供するために育てられます。それは、将来妻そして母になるための予め定められた役割を果たすための準備と考えられています。

南スーダンの憲法が児童結婚を禁止しているにも関わらず、いまだに広く行われています。約10人に1人の少女が、15歳になるまでに結婚させられます。

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女子生徒たちの教室で、生徒たちは授業に耳を傾けます。南スーダンの首都、ジュバにて。Photo: WFP/Gabriela Vivacqua

この、ほとんど情け容赦のない家父長的社会において、多くの親たちは娘より息子を持つことを望みます。少女たちにとって、人生はつねに困難と向き合うことなのです。

「男の子たちはすべての面において楽なんです」苛立ちながらアタプは語ります。少年たちは、家族にとって、その家督、その名前と誇りを受け継ぎ保つものであると広く信じられています。そのために、少年たちは教育と訓練においても優先度が高く置かれています。

結果は誰が見ても明らかです。南スーダンの600万人の女性たちの90%が読むことも書くこともできずにいます。女性たちは家庭に閉じ込められ、社会の底辺から抜けられずにいるのです。

多様な恩恵

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少女たちは、人道支援職員の助けをかりつつ、食料を家へ持ち帰るための証明手続きを完了させます。Photo: WFP/Gabriela Vivacqua

しかし、国連WFPの持ち帰り食料は、退学率を下げ、食料を家へ持ち帰ることは、生徒たちを学校へ呼び戻すことに寄与しています。アタプにとって、学校に通うことは、結婚を遅らせる弁明となっています。彼女が好きなキリスト教と宗教の授業は、よりよい将来を約束してくれるものとして、彼女を鼓舞します。

「プログラムの開始期から、私たちは、持ち帰り食料の効果を確認しています」と国連WFP南スーダン事務所の代表、アドナン・カーンは語ります。「食料は、南スーダンの厳しい時期において、この世代の子どもたちが教育を受け損なうことがないことを保証し、維持するために特に重要な役割を果たしてきました」

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生徒たちは、女子生徒へのインセンティブの一環として国連WFPから供給されたソルガムの袋を運びます。 Photo: WFP/Gabriela Vivacqua

2018年、国連WFPは、オーストラリア、カナダ、日本、ドイツそしてアメリカなどからの支援により、16,000人を超える南スーダンの少女たちに、持ち帰り食料を提供しました。

国連WFPの食料支援にご協力ください。寄付はこちらから