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【日本人職員に聞く】他国の難民も支えるウガンダの発展をサポート

東アフリカの内陸にあるウガンダは、「アフリカの真珠」と謳われるほど自然が豊かな美しい国です。そんなウガンダのアルーア地域事務所で、2018年4月からプログラムオフィサーとして働く由佐 泰子(ゆさ たいこ)さんに話を聞きました。
, WFP日本_レポート
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オルチンガ難民キャンプを訪ねる由佐。

ウガンダにおける食料安全保障上の課題

私が働いているウガンダ北部には南スーダンとコンゴ民主共和国から多くの難民が流入しています。その80%は女性と子どもです。多くが貧困状態にあり食料支援に頼っています。また、受け入れ国のウガンダ北部にも貧しい人が多くいます。難民、ウガンダ現地住民ともに、子どもの低体重や妊産婦の栄養問題が大きな課題となっています。

国連WFPの活動

ウガンダ北部では約80万の難民に対して、食料あるいは食料購入のための現金の支援を行っています。また難民居住地域では、現地住民と難民の共存を後押しするプロジェクトも実施しています。そのうちの一つは、日本の支援を受けて、南スーダン難民と現地住民が通う小学校を拠点に、学校菜園や、給食調理用のかまど建設のために難民と現地住民に労働に参加してもらい、対価を提供するという支援を行っています。このように支援を受ける人々の参加を通して地域の資産を形成するプロジェクトは、2016年から続く緊急支援の中で初めての難民生計支援プロジェクトとなっています。

仕事内容

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インベピ難民居住区の小学校での地域住民、学校関係者、他国連機関との調整会議。

2018年4月からアルーア地域事務所プログラム部署の責任者として、また今年の5月からは生活生計支援担当官として、難民支援の実施企画サポートを行っています。日々の仕事は、書類作成等の事務仕事、職場内、他機関、地方政府との調整を行うための会議の実施や参加、地域事務所の管轄事務所である2つのグル及びユンベ現地事務所との調整、現場で政府機関、WFPの受益者との会議や調整など様々あり、学びの多い日々です。

気候変動の影響

ウガンダ北部の貧しい小規模農家や難民の多くは雨水に依存した農業を行っています。近年の気候変動により、降雨のパターンや期間に変化があり、気候の予測が困難になっていることは作物の収穫量に大きな影響を与えています。WFPウガンダでは気候変動による不測の食料不足などの緊急事態にも柔軟に対応できるように、ウガンダ政府に対しても受益者に対しても能力開発などの支援を強化していこうとしています。

ユニークな活動

国連WFPウガンダでは2018年から、食料支援を行うにあたり指紋・瞳孔認証の生態認証システムを使用しています。このシステムの使用により、効率的に、また的確に、決められた量の食料を受益者に配布することができます。さらに、このようにデータをデジタル化し他の支援との情報共有を強化・管理したり、WFPウガンダの支援を通して銀行口座の開設を促進することで弱い立場にある難民や貧困層の地域住民が今までアクセスできなかった金融システムの使用も可能になります。また、受益者情報のデジタル化は、現在進められているウガンダの社会保障システムの強化へのサポートとしても貢献しています。

受益者との交流で感動したこと

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2018年の世界難民の日に行われた「Story Tellers」のイベント。

現在国連WFPウガンダでは、「Story Tellers(ストーリー・テラーズ)」というプロジェクトで、難民など受益者が自分の経験を語り、表現するためのトレーニングを行い、また、表現の機会も設けています。昨年、ウガンダ最大のビディビディ難民居住区で、トレーニングの卒業式を開催しました。そこで参加者の難民の若者が自分を表現する喜びを感じている場面や、ホストコミュニティーの人々と共に音楽、写真、伝統舞踊を楽しむ様子を見て、とても感動しました。この体験を通して、人間の尊厳を尊重する支援の必要性を強く感じました。現金支給も食料を配布する現物給付に比べ、受益者が自分でどの食料を買うか、何を食べるかを決められ、人間の尊厳が尊重されると言えます。

日本の支援者へのメッセージ

日本からのご支援、本当にありがとうございます。アフリカでも日本は大きな支援国として、受益者に知られています。みなさまから頂いたご支援は、紛争のために祖国を追われた人、人間の基本的ニーズが満たされていない人への支援とともに、これらの問題に立ち向かうウガンダ政府の能力強化のために使われています。ウガンダは自国も貧困問題を抱えつつ、流入してくる難民に対し支援を行っており、地域の安定に大切な役割を果たしています。日本からの支援は東アフリカの安定にも貢献しているのです。日本は、WFPに対する支援だけではなく、民間分野でも農業、中古車の輸出、日本企業の社会貢献など、アフリカと多くの繋がりがあります。これからもウガンダ、そしてアフリカの発展と安定のため、ご支援をよろしくお願いいたします。

由佐 泰子(ゆさ・たいこ)

仙台市出身。宮城学院高等学校、青山学院大学経済学部卒、カリフォルニア大学ロサンゼルス校教育大学院修士号取得。教師、青年海外協力隊、WFPペルー・マラウィー事務所、国連児童基金スーダン事務所に勤務。