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新型コロナウイルス:バイクにまたがり給食を配達するホンジュラスの先生

子ども達に、食料と笑顔を届けるため、ご支援をよろしくお願いします。ご寄付はこちら
, WFP日本_レポート

新型コロナウイルスによるロックダウンにもかかわらず、国連WFP、ユニセフ、政府間の連携により子ども達に栄養豊かな食事が届けられています

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様変わりする生活:ドラ・アイロックさんとデルサ・ロペスさんの両先生が4輪バギーから配給された食料を下ろしています。Courtesy of Golda Haylock

3月の上旬にはじまり7月まで続く禁漁措置期間は、ホンジュラスのモスト沿岸の東端一帯、ラ・モスキティアに住む人々が直面する困難な状況をさらに悪化させています。親の収入源が中断され、子ども達にとって学校の食事が日中に与えられる唯一の食事になる可能性が高くなります。

しかし、新型コロナウイルスの世界的大流行により、彼らの置かれる苦境はさらに悪化しました。先月、アウトブレイクを阻止するために全国の学校閉鎖が命じられると共に、120万人の子どもたちに温かい給食を毎月提供していた学校給食プログラムも停止されたのです。

国内で最も貧しく、最も脆弱で最も救護が届きにくいグラシアス・ア・ディオス県のラ・モスキティアの人々は、新たなこの嵐によって彼ら唯一の頼みの綱をも取り去られてしまったように見えます。

このような話は世界中で聞かれます。というのも、最大の学校給食支援組織であるWFPが給食支援を実施または政府と協業しているほとんどの国で、部分的であれ全国的であれ学校の閉鎖が報告されているのです。

そのような中ホンジュラスでは、当局がこの問題に対処し、生徒が引き続き食料を受け取り可能にする緩和策を講じました。

WFPとユニセフは協働でホンジュラス政府を支援し、学校給食委員会の協力も得て、学校閉鎖によって手が付けられていなかった食料配給を準備するための、教師向けの安全手順が設けられました。

結果として、1家族につき大人1人が学校に行き、米、豆、油、トウモロコシ粉からなる食料配給を受けることができるようになりました。

WFPとユニセフによって定められた安全手順では、持ち帰り用の配給も可能です。そこで、グラシアス・ア・ディオス県にあるカウキラ地区教育局長のゴルダ・アイロックさんと80名の教師陣が立ち上がりました。

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ドラ・アイロック先生はバイクに乗って生徒を訪問し、彼らの状況を聞き取り支援を受けられるようにしました。Photo:提供画像

「私たちは学校での密接状態を避けるために訪問支給をすることに決めました。そしてそれは子ども達とその家族がどのように過ごしていたかを知る機会でもありました」とカスブリカピスカ学校(ミスキト語で「空のかけら」を意味)の教師でもあるゴルダさんは言います。

配達の際、教師はその時を新型コロナウイルスを寄せ付けない方法を家族に教える機会としても活用しています。また、家族の身元を確認し、生活状況を記録して、適切な支援を受けられるようにします。

カウキラは、ホンジュラスの8つの民族グループの1つであるミスキトス族の居住地であり、独自の言語が話されています。学校の授業はスペイン語と先住民の言語であるミスキト語で行われます。

学校給食プログラムは、ホンジュラス政府の最も重要な社会保障政策の1つです。全国の22,000の学校で120万人の少年少女の助けとなっています。

カウキラ地区教育局長ゴルダさんの従妹であり、ダパ村の幼稚園に務めるドラ・アイロック先生には、太陽も距離もその妨げにはなりませんでした。彼女とデルサ・ロペス先生は食料を準備し、四輪バイクに乗って、大切な届け物を生徒達の家に届けました。この経験が、ダパで18年間働いてきたドラさんに、さまざまな感情を抱かせました。

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ドラ・アイロックさんとデルサさんは生徒へ届けるための配給食料の用意をします。Photo: Courtesy of Golda Haylock

彼女は次のように語ります。「この配達で、48人の生徒それぞれの様子、生活状況を確認し、食料の配給を受けた時の喜びを目の当たりにすることができました…多くの家では、暖をとるための火すらない状態でした。」

「これらの地域に行って子どもたちがグリーンマンゴーを探しているのを見かけるのは非常に辛いことです。なぜなら、多くの場合彼らにとってそれがその日に食べる唯一のものになるからです。」

WFPの現地モニタリング担当官であるカレン・サンチェスさんは、次のように述べています。「学校からの食事を受け取るときの子ども達の幸せそうな笑顔は何物にも代えがたいです、特に多くの家では何も食べ物がないことを知っていますから。」

彼女は、教師がバイクに乗って家から家へ配給するのは、生徒たちに対する愛情が原動力だと付け加えました。

障害を乗り越えて

この地域のWFP調整官であるダニー・グリーンウッドさんによると、WFPにとって、政府を支援しグラシアス・ア・ディオス県で全国学校給食プログラムを実施することは、物流上の挑戦になります。

ラ・モスキティアへの行程の90%は水路になります。これは運搬計画をより危険なものにします。そしてホンジュラスの他の地域への搬送と比べ3倍も費用がかさむ場合があります。

孤立していることに加え、この地域の一つのコミュニティから別のコミュニティへの移動には、ボートで最大6時間ほどかかる場合があり、すべての食料が配達されるまでに最大3日もかかる事があります。「しかし、学校給食プログラムの食料は人々が困窮を極めるこれらの地域で高く評価されているため、このプロセスは地方自治体、教師、保護者らによってサポートされるものとなっています」グリーンウッドさんは結びます。