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女性や少女を誰よりも苦しめる新型コロナウイルスの脅威~ジンバブエ

, WFP日本_レポート

新型コロナウイルスの迫り来る脅威が一層の悩みをもたらすなか、飢餓の危機状況が進行する恐怖を一人の母親が伝えます

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レベッカは、WFPの食料配給所で、支援食料を受け取る前に、政府の医療従事者からの健康と安全に関する話に耳を傾けています。Photo: WFP/Claire Nevill

「シングルマザーなので、私は母親と父親という二重の努力をしなければなりません」とレベッカは言います。「物の値段が昨日と違うということもあり、必需品すら購入できません。国の経済は非常に不安定で、生活することすら困難です。」

ジンバブエ・マショナランド中央州のシャンバ地区にある彼らの家を訪問すると、レベッカの7歳の娘・クズワイが、母親に科学の教科書を完全な英語で読みあげていました。(彼女の母国語はショナ語です)。そしてクズワイは私に言いました。「先生たちは、新型コロナウイルスだから学校には来ないで家にいなければならないと教えてくれました。そして、私たちに目、鼻、口に触らないように言いました。」

レペッカは、家庭での教育がそれほど心配する程のことでもないことが分かってきました。彼女が何よりも恐れるべきことは、食卓に出す食べ物がなくなってしまう事です。

レベッカは農家を営んでいますが、ほとんどのジンバブエ人と同様、年に1度だけ訪れる、不安定な雨季に依存しています。しかし、深刻な気候危機に起因する干ばつのため、農作物の成長期に通常の降雨があったのは過去5年間で1度だけです。今年の収穫は4月ではなく6月へ遅れるだけではなく、近年では最も少量になると予想されています。

「過去2年間、私たちは何の収穫も得られていません。」と陽に枯れたトウモロコシ畑に立つレベッカは言います。「私たちの村は降雨パターンを予測することができませんでした。私たちのタイミングは毎回間違っていて、作物は収穫に足るほど十分に成熟していませんでした。もう食べ物を手に入れることはできません。唯一の稼ぎ手として、私は子ども達に与えるものは何もありません。彼らが食べることができるように、自分の食事を抜くしかありません。」

家族の生活は日々困難になっています。ハイパーインフレは食料価格を大幅に上昇させ、それが購買力を低下させています。12月の食料インフレは700%を超えていました。「価格は常に変化しており、私はそれに対応する術を持ちません。」とレベッカは言います。

今月、レベッカは、WFPが支援を計画している「危機」または「緊急」の食料不足下にいる410万のジンバブエ人の1人です。最近の全国的な評価~統合的食料安全保障レベル分類(IPC)~によると、その数は昨年末の380万人から更に増加しています。

しかし、今年の初め以来、資金不足により、WFPはその月次目標を達成することができていません。先月、WFPはジンバブエの人口1650万人のうち370万人に対し支援を届けました。

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村のメンバーは5人ごとのグループとなり、混雑を防ぐために、少なくとも1メートル離れて食料を受け取ります。Photo: WFP/Claire Nevill

飢餓のピークを迎え、迫り来る新型コロナウイルスのパンデミックは、ジンバブエの悲惨な経済危機と飢餓を悪化させる恐れがあります。新型コロナウイルスの食料安全保障への経済的影響に関するWFPの最近の分析は、次の農業シーズンが何百万ものジンバブエ人にとって非常に重要であることを示していますが、ロックダウンの影響による農業従事者の減少、またはサプライチェーンの混乱による農業用品の欠如により、悪い結果となる恐れがあります。

レベッカは、新型コロナウイルスの蔓延により、WFPの食料配給が止まってしまうことを恐れています。「すべての国境が閉鎖されると、私たちの村への食料輸送も影響を受けます。」と彼女は言います。「食料へのアクセスがなくなるということは、ここにいる私たちの家族にとって一層の飢餓を意味します。」

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彼女の5人の子ども全員と共に、シャンバの自宅の外にて。Photo: WFP/Tatenda Macheka

「結局のところ、女性や少女たちは新型コロナウイルスの一番の被害者となります。そしてそれは誰よりも私たちに危険をもたらします。なぜでしょうか?それはいつも家事をしているのが私たち女性だからです。私たちは薪を探し出し、調理をしなくてはなりません。私たちは安全ではない井戸に水を汲みにいかなくてはなりませんし、汲み上げには2〜3人の力が必要なのです。そこではソーシャルディスタンスを保つことはできません。私たちこそが最も危険にさらされているのです。」

国連WFPジンバブエ事務所・代表のエディ・ロウは、新型コロナウイルスに妨げられずに、支援活動を継続する必要性があると強く訴えます。「WFPは、パンデミックに対するジンバブエの対応をサポートしながら、拡大された食料支援を維持することで非常に重要な役割を果たしています」と彼は言います。WFPは隣国の南アフリカ政府と交渉し、人道的回廊を開いたままにし、ジンバブエへの食料の流入が妨げられないようにしています。

WFPは、主要な供給回廊地帯を通じて3カ月分の食料を事前に配置し、同時に、都市部を含む場所で現金での支援をするための資金を確保しています。

レベッカが食料配給を受けるシャンバのような配給所すべてで、WFPは新しいリスク管理措置を展開しています。これらには、過密緩和のための配給所の数の増設、ソーシャルディスタンスの確保、すべての職員およびパートナースタッフへの防護服の提供、手洗い場の設置、そしてデジタルの受給者登録カード(SCOPE)を遠くからスキャンするための新しい装置が含まれます。

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世界中の何百万人もの親と同じように、レベッカ・カペアラは、5人の子どもを自宅で勉強させること、そして収入を得て食卓に食べ物を並べることの両方を、何とかやっています。Photo: WFP/Claire Nevill

レベッカが家に帰り、トウモロコシのお粥を火のそばで準備しはじめると子どもたちが寄ってきました。「母親として、私は常に子ども達に最高の生活を送ってほしいと思っています」と彼女は言います。「5人が全員、本、制服、靴を手に入れて学校に行くところを見たいです。今のところ、唯一の希望は、私たちが受け取れている、この食べ物です。」

「パンデミックが発生する前月には、家族の大きさによりますが、大規模なグループで集まり、食べ物を持ち寄り共有していたものです」とレベッカは説明します。「私たちは現在、医療従事者の指示を受けています。彼らは座るときの注意点、ソーシャルディスタンスの取り方の練習方法、そして私たちが互いに近づきすぎてはいけないことを教えてくれます。」

レベッカが家に帰り、トウモロコシのお粥を火のそばで準備しはじめると子どもたちが寄ってきました。「母親として、私は常に子ども達に最高の生活を送ってほしいと思っています」と彼女は言います。「5人が全員、本、制服、靴を手に入れて学校に行くところを見たいです。今のところ、唯一の希望は、私たちが受け取れている、この食べ物です。」

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新型コロナウイルスとジンバブエでの全国的なロックダウンのため、レベッカの子ども達は今は学校に通っていません。Photo: WFP/Claire Nevill

8月までに、この緊急事態への対応に必要な資金1億3000万米ドルが迅速に集まらないと、ジンバブエでは何百万人もの人々がより深刻な飢餓状態に陥ることになるでしょう。

未曽有の干ばつに加え、新型コロナウイルスにより深刻な飢餓の危機にあるジンバブエの人々に寄付をお願いいたします