Skip to main content

【日本人職員に聞く】「子どもはどの社会にとっても未来の希望」-後編

ラオスにおける国連WFPの学校給食支援、コロナウイルスとのたたかい -唐須史嗣さん
, WFP日本_レポート
前編はこちら

【後編】「ラオスの美しさ、「学校給食支援」に対しての思い」

今後の課題と改善策、目標

2002年からの学校給食の影響もあり、小学校への入校率の全国平均は現在98%を超え、女子の就学率も大幅にあがりました。一方教育スポーツ省も2014年に学校給食を支援する方針を公開し、その後も省内で給食プログラム担当の部署を確立するなど制度的な枠組みも導入しました。

この先の課題としては小学校の卒業率、中・高校への進学率(ジェンダーのバランスも含みます)、教育の質(教員のトレーニングや教材の強化)、地方レベルでの給食事業のスタッフの割当等がありますが、給食プログラムにより小学校の就学率を上げる事ができたのは教育の将来への第一歩を踏んだと言っても良いと思います。

これから先数年の給食事業の計画・目標は政府の国立給食プログラムを拡大、強化する事にあります。身近な目標としては2021年の7月にWFPの支援する残り940校での給食事業を政府へ引き渡す予定です。2025年までは政府の優先する40の地区にある学校を中心に様々な支援を予定しています。更に先を見ると教育スポーツ省は長期的なビジョンとして全国全ての小学校にて給食を提供する事を目標としています。国連WFPとしては引き続き政府との調整の下、政府のビジョンとプライオリティを中心にできる限り適切な支援を続ける予定です。

ラオスという国とラオス人について

ラオス、というと正確にどこに位置する国か分からない方も少なくないのではないでしょうか。ラオスは中国、タイ、ミャンマー等人口、国土、経済等が何倍もある国の間に囲まれている小さな国であり、開発支援に携わる人たちの中でも話題になる事は稀です。ですが一度ラオスへ足を入れると、自然の美しさやラオスの人々に魅了される人も多くいます。

ラオスは50以上の民族によって構成されている為に「ラオス人」について一概には言えませんが、私のラオス人の印象は素直で、謙虚、そして寛大・気が大きい人が多いように思えます。ミャンマーにいた頃にも同じような事に気づきましたが、自分の経済状況に問わず、親戚や友人、初めて会う人に対しても常に歓迎しています。他の国に比べ、ラオス政府の給食プログラムやWFPからの引き渡しに対しての思いやり・コミットメントは見事な物だと思います。経済的な課題はあるものの、中長期的なビジョンと計画の下、確実に一歩ずつ前へ進んでいます。

1*xiS_ezJQ1L1qGAqZWlACUQ.png
支援している小学校にて教員と子どもたちと©WFP / Vilakhone Sipaseuth

国連WFPの学校給食支援活動について

国連WFPは世界的に緊急支援や危険地域での人道支援で知られていますが、特にラオスの様な安定した国では以前に増して長期的な開発事業に力を入れています。その中で学校給食支援は中心的な位置を持っています。

国連WFPの学校給食支援はこれまでは国連WFPが食材を調達し、学校へ輸送し、配給していました。実際現在でも毎年60か国余りに住んでいる1500万人以上の子供達に直接学校給食を提供しています。現在実際発展途上国で貧困に苦しみ、学校給食を食べられない小学生は約7300万人程いるものと思われています。ラオスを見ても国連WFPの支援により1440校に学校給食を提供してきましたが、それでも全国の小学校の2割にも満たしません。より多くの脆弱な立場に置かれている子供達に学校給食を提供する為には各国の政府と共に国立学校給食を立ち上げ、拡大させ、強化する他ありません。

1*Pv1PZzwSzQ7XNPRtBuQ7xA.png
2019年9月、支援している小学校にて果物の木を植える。やがて実る新鮮な果物は子どもたちの給食に。©WFP / Vilakhone Sipaseuth

「学校給食支援」に対しての思い、子どもはどの社会にとっても未来の希望

私は国連WFPに入る以前は4年程テーブルフォーツーと言う学校給食を提供するNGOに務めていましたが、給食支援に対しては何か特別な思いを感じます。給食を提供する事により、より多くの子供達が学校へ通う事ができ、栄養価の高い給食を十分食べる事によって授業中も集中する事ができます。教育支援という活動の結果はすぐには見られませんが、確実に支援する子ども達とその家族、コミュニティーを少しずつ変えていきます。子どもはどの社会にとっても未来の希望であり、開発の様々な複雑な問題も教育に投資する事によって少しずつ解決されるのではないでしょうか。私自身7歳の息子ともうすぐ4歳になる娘がいますが、親になって更に子供に対しての希望や思いが理解できるようになった様に思えます。将来の夢は、どの国に住む親であっても心配する事なく自分の子どもを学校へ送り、そこで栄養一杯の給食が待っている世界になる事です。

ラオスで学校給食の活動をしていると、良く日本の学校給食について聞かれます。日本は世界で国営の給食プログラムを導入した最初の国の内の一つです。ラオスを含み、東南アジアでは日本はトップドナーの一つという事もあり、ラオスでは日本は他の支援国と比べ、少し違う目で見られます。国連WFPのラオス事務所ではここ数年、日本の政府からの魚缶、それと国連WFP協会を通し民間の方からの学校給食への支援お頂いています。政府と共に国営の給食プログラムを拡大、強化する為に引き続きサポートをお願いいたします。

皆さまのご支援に心より御礼申し上げます。

飢餓から救う。未来を救う。国連WFPの活動をあなたも是非支援してください。

「今回の寄付」はこちらから 「毎月の寄付」での継続的なご支援はこちらからお願いいたします